本書を読めば、生きづらさが軽減されます。
ローマ時代に生きた”奴隷出身”の哲学者エピクテトスがいかに真の自由を手に入れたのか。
現代の奴隷であるサラリーマンの皆さん、知りたくありませんか?
他人の評判や視線が気になって、自分らしく行動できない。
怒りや悲しみといった感情に流されやすい。
有名人や金持ちが羨ましい。
困難な状況を目の前にするとアタフタして自分の力が出せない。
仕事でもプライベートでも”ナントイキヅライヨノナカナンダ!”と嘆きたいことばかりですよね。
僕の日常は、朝起きてから職場に行って夜まで仕事し、子供が寝静まった時間に帰ってきて、一人でご飯を食べてお風呂に入って寝る。そしてまた朝が来て仕事して・・・の繰り返し。
まさに奴隷です。
エピクテトスはローマ五賢帝時代に生きた奴隷出身の哲学者。
足には障害を持っていました。
我々現代人には想像を絶するほどの超苦労人であるエピクテトスは、ただの哲学者ではありません。
『幸福論』で有名なアラン、『自省録』を書いた哲人皇帝マレクス・アウレリウス、さらには日本を代表する文学者夏目漱石など多くの著名人に影響を与えた偉大な哲学者です。
エピクテトスが何故、これほどまでに多くの哲学者や文学者などに影響を及ぼすのか?
本書「奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業」の著者である荻野弘之さんは、本書の中で次のようにエピクテトスの魅力を述べています。
彼の言葉には、現代人のみならず、およそ人間につきまとう共通の悩みや不安を一変させるような起爆力が秘められている。
本書より
彼の残した名言の数々は、一読して「なるほど」と納得できるような、いわば常識の延長線上にある凡俗な人生訓では決してない。〜(中略)〜いずれにせよ、禅の公案にも似て、我々の心に静かだが確実な波紋を呼び起こすのである。
本書より
いかがでしょうか?
エピクテトスの言葉や考え方が気になりませんか?
地位や財産とは無縁なごく平凡な庶民である僕たちは、どうすれば本当の自由を得ることができるのか、幸福な生活を手にすることができるのか。
本書を読んで一緒にその答えを探しましょう!
”哲学”というだけで敬遠するのは勿体ないです。
本書は感動的に分かりやすいです。
奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業
著者:荻野 弘之
出版社:ダイヤモンド社
ページ数:248
発売日:2019/9/12
- 奴隷が奴隷でありながら、いかに真の自由を手にするか――。
異色の古代哲学者エピクテトスから学ぶ、
不惑の生き方、考え方! - 感情に振り回されないためにはどうすべきか
- 人間関係に思い悩まないための考え方とは
- 自らの境遇をどう捉え、どう生き抜くか
- 真の意味で「自由に生きる」とはどういうことか
著者について
1分要約
5分解説
①奴隷の哲学者エピクテトス
ローマ五賢帝時代に生きたストア派を代表する哲学者エピクテトスは、奴隷出身・足が悪い・私塾講師という不安定な職業など様々な障害に囲まれた無力な庶民だった。奴隷として生きた彼の考え方は、2000年後に生きる我々のような地位も財産もないサラリーマン(社会的奴隷!)に、庶民でも本当の自由を手に入れ幸せに生きるための知恵を授けてくれる。
奴隷の両親の元に生まれたエピクテトスは、奴隷として人生がスタートします。
今風に言えば、親ガチャが最悪、ということでしょうか。
実は本名もわかっておらず「エピクテートス」は「後になって獲得されたもの」を意味する、いかにも奴隷らしい名前です。
エピクテトスが生まれた時代はローマ五賢帝時代。
まさにローマ大繁栄の時代です。
時代は”繁栄”なのに、自分は”奴隷”・・・
僕だったら不貞腐れ、不満を垂れ流して人生が終わるでしょうが、きっとエピクテトスは「辛い環境でもどうやったら人は幸せに生きれるのか」を思索したんだと思います。
利発だったエピクテトスは主人からストア哲学の講義に出ることを許されたことがきっかけで、ストア哲学に傾倒していきます。
その後、奴隷から解放され、ストア哲学者のもとで研鑽を積むものの、当時の皇帝ドミティアヌス帝による思想統制で哲学者は国外追放させられます。
エピクテトスはギリシアに移住し、哲学の私塾講師となりました。
そして、ストア哲学を代表する哲学者になったのです。
『幸福論』で有名なアラン、『自省録』で有名な哲人皇帝マレクス・アウレリウス、さらには夏目漱石など多くの著名人から尊敬されるほどの偉大な哲学者です。
僕の好きな著書『生の短さについて」を書いたセネカもストア哲学です。
本書を読むたびに「人生を浪費してはいけない!」と心を改めさせられます。名著です。
いつからなのか判明していないのですが、エピクテトスは足に障害も持っていました。
奴隷・足の障害・国外追放・私塾講師(おそらく収入も安定しないのでは?)という数々の困難の中で真の自由を得るために思索に思索を重ねたエピクテトスの言葉に宿る説得力はハンパなく、生きづらい世の中でもがき苦しんでいる我々庶民に救いの手を差し伸べてくれます。
地位や財産とは無縁なごく平凡な庶民である僕たちは、どうすれば本当の自由を得ることができるのか、幸福な生活を手にすることができるのか。
ストア哲学とは禁欲主義の代名詞であり、ストイックの語源でもあります。
ストイックと聞いて怯んだ人もいるでしょうが、我慢を強いるスパルタ的な考え方でも、忍耐を求める精神論でもありませんので安心してください。
②「我々次第でないもの」を軽く見る
自由を手にする唯一の方法は「我々次第でないもの」を軽く見ること。地位・財産・他人の評価・過去や未来などの「我々次第でないもの」に囚われず、自分でコントロールできるものだけに意識を集中することで、人間関係のしがらみや感情の奴隷から脱することができる。
「我々次第でないものを軽く見る」こと。
エピクテトスの考え方は全てここに帰着すると言っても過言ではありません。
以下、エピクトテス先生に答えてもらいましょう。(※エピクテトスの言葉そのままではなく、私の超意訳です。)
有名人になりたい。金持ちになりたい。有力者になりたい。
君は何かに囚われて生きるのと、何にも囚われずに自由に生きるのと、どちらが幸せだと思う?
後者だと思うなら、地位・財産・名誉といった「我々次第でないもの」にそっぽを向きなさい。
過去の後悔や将来の不安で頭がいっぱい。
誰だって過去には後戻りできない。
誰だって将来のことなど分からない。
そんなアンコントロールな過去や未来に君は何を望むのだ?
無駄なことに意識を囚われず、今を生きよ。
人から言われた言葉に過剰にイライラしたり悔しく感じてしまう。
記憶して置くがよい。君を侮辱しているのは、口汚く罵ってきた者ではなく、「彼らが自分を侮辱している」と見做す君の考えなのだ。
そう、全ての苦しみの原因は、あなたの考え方なのだ。
上司から評価されたい。他人から羨ましがられたい。たくさんの「いいね」が欲しい。
上司に必要以上に媚び諂ったり、他人の顔色を伺いながら振る舞う生活は奴隷そのものだ。
自分の意志に目隠ししてまで他人の意志ばかり気にして、何が楽しい?
自分の意志に忠実に生きなさい。
どうです?
ドキッとするような、耳が痛くなるような言葉ばかりではありませんか?
第三者の評価を意識した生き方はしたくない。自分が納得した生き方をしたい。
イチロー
③「死」を眼前に置く
人間、死ねば名誉も財産も地位も全て無に帰す。そんなもののために人生を棒にふるな。本当の幸せとは何か?自分が人生で成し遂げたい信念はなんなのか?自分の心の声に従え。
「死」は誰にでも訪れる「我々次第でないもの」です。
今日死ぬかもしれない、と思えば、自分が本当にしたいことに目が向くはずです。
「死」を意識することの大切さは、私が尊敬するスティーブ・ジョブズも有名なスピーチで話していました。
スティーブ・ジョブズは「死は生き物の最高の発明」「他人の人生を生きて無駄にするな」「あなたの心と直感に従う勇気を持て」と言います。
④マルクス・アウレリウスへの影響
五賢帝時代の最後の皇帝マルクス・アウレリウス。奴隷出身のエピクテトスとは違い、名門家庭のアウレリウスは39歳で皇帝になったエリート中のエリート。哲学者として生きたいという思いと、皇帝として生きなければならない現実との間で苦悶した思いを日記として綴ったのが『自省録』。ストア哲学を代表するアウレリウスは、エピクテトスからもっとも影響を受けた。
エピクテトスの晩年はアウレリウスが哲学に感化された少年時代と重なりますが、アウレリウスがエピクテトスから直接教えを受けたわけではありません。
恩師の蔵書によって、エピクテトスとその思想を知ったと『自省録」に記しています。
エリート中のエリートである皇帝アウレリウスが、奴隷出身のエピクテトスから最も影響を受けたという構図が面白いですよね。
『自省録」から、エピクテトスの考えが記載された箇所をいくつかピックアップします。
エピクテトースが言ったように「君は一つの死体を担いでいる小さな魂に過ぎない。」
自省録 6-41
人間には、人間的でない出来事は起こり得ない。牡牛には、牡牛にとって自然でない出来事は起こり得ない。葡萄の樹には、葡萄に自然でない出来事は起こり得ない。ー中略ーかように、もし各々のおきまりの自然なことのみ起こるのならば、なぜ君は不満をいだくのか。宇宙の自然は君に耐えられなぬようなものはなにももたらさなかったではないか。
自省録 8-46
「自由意志を盗み取るものはない。」これはエピクテトースの言葉である。
自省録 11-36
哲学者になりたかったけど、皇帝として公務に明け暮れるアウレリウス。
辛い仕事、不本意な仕事に明け暮れて、自分が本当にしたいことができていないと思っている僕たちサラリーマンも状況は同じですね。
だからこそ、アウレリウスの言葉は心に響くのだと思います。
さいごに
エピクテトスの言葉に宿る説得力はハンパないものがあります。
ローマ時代の奴隷エピクテトスから、現代に生きる社会的奴隷であるサラリーマンの僕たちに、2000年もの時を超えて送られる至極の言葉です。
エピクテトスの言葉は、よりよく生きるためのアドバイスであり、「庶民が自由を手に入れ幸せに生きるための知恵」でもあります。
自分の本当の幸せが何かもわからないまま日々仕事に追われるサラリーマンのみなさん、ぜひ読んでみてください!
奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業
著者:荻野 弘之
出版社:ダイヤモンド社
ページ数:248
発売日:2019/9/12
- 奴隷が奴隷でありながら、いかに真の自由を手にするか――。
異色の古代哲学者エピクテトスから学ぶ、
不惑の生き方、考え方! - 感情に振り回されないためにはどうすべきか
- 人間関係に思い悩まないための考え方とは
- 自らの境遇をどう捉え、どう生き抜くか
- 真の意味で「自由に生きる」とはどういうことか
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最後まで記事をお読みいただきありがとうございました。ではまた。
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