常に時間に追われて忙しくしていませんか?
人間本来の生き方を忘れてしまっています。
「生きる意味や喜びを取り戻したい」人におすすめの1冊です。
いつも忙しくて疲れきっている
毎日がつまらく感じる
何となく日々の生活に充実感がない
『モモ』は世界中で愛される不朽の名作です。
児童書でありながら、子供はもちろん大人にも愛されています。
20世紀後半の最も注目すべき小説と評されている『モモ』。
21世紀の今でも、いや、今だからこそ読むべき1冊です。
「いつも忙しくて疲れてきっている」「日々の生活がつまらない」「何となく充実感がない」のはなぜでしょうか?
その原因は、常に時間に追われ、自分の大切な時間を見失っているからです。
仕事でもプライベートでもコスパ・タイパばかり重視し、何事も1分1秒でも早く終わらせようと時間ばかり気にしていませんか?
時間を切り詰めた結果、自分の手元に”ゆっくりできる時間”が残っている実感はあるでしょうか?
倹約した時間は、じっさい、手もとにすこしものこりませんでした。魔法のようにあとかたもなく消えてなくなってしまうのです。〜中略〜あっという間に一週間たち、ひと月たち、一年たち、また一年、また一年と時がとびさってゆきます。
本書p.101
時がとびさってゆく・・・めちゃくちゃ共感できます。
『モモ』では、時間を奪う敵役として「灰色の男たち」が登場し、主人公である少女モモが「灰色の男たち」に立ち向かいます。
モモvs灰色の男たちの手に汗握る展開も小説として十分に楽しめますが、「生きる意味や喜び」を気づかせてくれる言葉がたくさん散りばめられていることが、子供だけでなく大人にも愛されている理由だと思います。
良い言葉ばかりですので、今回の解説は本書の引用を多めにしています。
時間とは、生きるということ、そのものです。そして人のいのちは心を住みかとしているのです。
本書p.106
人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそっていくのです。
本書を読んで、自分の時間と生きることの喜びを取り戻しませんか?
モモ
著者:ミヒャエル・エンデ
出版社:岩波少年文庫
ページ数:398
発売日:2005/6/16
- 本書は、時間どろぼうである「灰色の男たち」とモモの対決というスリルあふれる展開を通して、1分1秒と時間に追われる現代社会へ、警鐘を鳴らしている。たとえば、モモの友だちだったニノが「スピード料理」の店を始め、大繁盛しているせいで他人とわずかな世間話をする暇もないというように、時間を盗まれた人たちは、現代の私たちの姿そのものとして描かれている。昨今、モモのように際限のない時間の中で、空想をめぐらせ楽しむ生活はほとんど忘れられている。子どもばかりでなく、忙しい大人たちにも夢見ることの大切さを教えてくれる本だ。(砂塚洋美)
マインドフルネスが流行っているのも、「今、ここ」に集中して、自分の時間を取り戻したいからではないでしょうか。
著者について
1分要約
5分解説
①あらすじ(ネタバレなし)
浮浪児の少女モモが、みんなの時間を奪う“灰色の男たち”から時間を取り戻す闘い
児童書なのでストーリーはすごいシンプルです!
本書の副題が「時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語」ですからね。
・廃墟となった円形劇場に住み着いた浮浪児の少女モモ。
・モモは聴く力が卓越しており、「モモに話を聞いてもらうと心が軽くなる」そんな不思議な能力を持っている。街のみんなの人気者。
・「時間貯蓄銀行」と称する”灰色の男たち”が人知れず街に現れ、みんなの時間を奪っていく。
・時間を奪われた街の人々は、モモに会いにいく時間もなくなり、いつしかモモは一人ぼっちに。
・人間に時間を与え時間を操る”マスター・ホラ”に導かれ、みんなが奪われた時間を”灰色の男たち”から取り戻す壮大な戦いが始まる。
ファンタジー要素がいっぱいで、灰色の男たちとの闘いは手に汗握ります。
本書の魅力の1つです。
②本書の魅力
毎日を忙しく時間に追われながら生きている私たちに、人間本来の生き方とは何かを改めて考えさせてくれる。
本書のテーマは「時間」です。
読んでいて驚いたのは、”灰色の男たち”から時間を奪われ、人間本来の行き方を忘れてしまった人々の描写は、まさに現代の人々そのものなんです。
本書を読むと、「生きる意味や喜び」というものを改めて考えさせられます。
ストーリーとして子供も大人も楽しめるのはもちろんですが、毎日を忙しく時間に追われながら生きている私たち大人こそ読むべき本です。
子を持つ親としては、いつのまにか「子供との時間」すら削っている自分に気づかされ、子供との接し方も考えさせられました。
じぶんたちの生活のが日ごとにまずしくなり、日ごとに画一的になり、日ごとに冷たくなっていることを、だれひとりみとめようとはしませんでした。でも、それをはっきり感じはじめていたのは、子どもたちでした。というのは、子どもにかまってくれる時間のあるおとなが、もうひとりもいなくなってしまったからです。
本書p.61
③洗脳されたコスパ思考
時間節約こそ幸福への道!時間を節約してこそ未来がある!君の生活を豊かにするために時間を節約しよう!・・・騙されてはいけない。倹約した時間は魔法のように跡形もなく消えて一切手元に残らない。時間をケチケチするほど、イライラ・せっかちになり、人生は痩せ細っていく。
床屋のフージー氏が「灰色の男たち」の最初の犠牲者でした。
あなたは、おしゃべりとハサミと石鹸の泡とに人生を浪費しておいでだ。
時間にゆとりがあれば、今とは全く違う素晴らしい暮らしができるのに、時間がないばっかりに何者でもないつまらない人生を送っている。
だからフージーさん、時間を倹約しなさい。
お客さんとの無駄なおしゃべりはやめなさい。
年寄りの親の介護なんかする必要ない、さっさと養護施設に入れなさい。
役立たずのペットなんか飼うな。
歌だの読書だの友人との飲み会など無駄無駄無駄。
ぼーっとしている時間なんて今のあなたにあるのか?
1分1秒でも時間を倹約しなさい。
そして倹約した時間を、我々「時間貯蓄銀行」に預ければ、将来2倍にして返して差し上げる。
これであなたの将来は、ゆとりのある素晴らしい生活が待っている。おめでとう!
現代人の好きなコスパ思考というやつですね。
家族や友人との時間やお客さんとのおしゃべりなどを断ち、時間の倹約を最優先にするフージー氏の姿は、いつも時間に追われ、常にイライラし、”幸せな生活”とは真逆のようになっていきます。
フージーはだんだんとおこりっぽい、おちつきのない人になっていきました。というのはひとつ、ふにおちないことがあるからです。倹約した時間は、じっさい、手もとにすこしものこりませんでした。 〜 中略 〜 毎日毎日がますますはやくすぎてゆくのに気がついて愕然とすることがあっても、そうするとますます死にものぐるいで時間を倹約するようになるだけでした。
本書p.101
余暇の時間さえ、すこしのむだもなくつかわなくてはと考えました。ですからその時間のうちにできるだけたくさんの娯楽を詰め込もうと、もうやたらとせわしなく遊ぶのです。
本書p.104
仕事がたのしいかとか、仕事への愛情を持って働いているかなどということは、問題ではなくなりましたーむしろそんな考えは仕事のさまたげになります。だいじなことはただひとつ、できるだけ短時間に、できるだけたくさんの仕事をすることです。
本書p.104
どうでしょうか?
周りに思い当たる人がたくさんいませんか?
というか、自分がまさにそうではありませんか?
時間をケチケチするということで、ほんとうはぜんぜんべつのなにかをケチケチしているということには、だれひとり気がついていないようでした。 〜 中略 〜 時間とは、生きるということ、そのものです。そして人のいのちは心を住みかとしているのです。
本書p.106
人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそっていくのです。
「ほんとうはぜんぜんべつのなにか」とは、家族との時間や友人との関係など、本当に大切なものを見失ってしまうことを指しているのではないでしょうか。
現代人はまさに、時間を倹約するあまり、生きる意味や喜びを見失っていると言えます。
もっと効率的に、もっと豊かに、もっともっと・・・と多くを求めて自分の時間を削ることで、結果的に人生を貧しくしているのです。
④今、目の前のことに集中する
時間に追われ、未来や過去の区別も曖昧なまま、時間が溶けるように過ぎ去っていく。人間本来の生き方を取り戻すためには、「今、目の前のことに集中すること」が大切。禅やマインドフルネスに通じる。
主人公モモの親友である道路掃除夫ベッポの言葉から、「今、目の前のことに集中する」ことの大切さが伝わってきます。
長文ですが、大事なところなので本書からそのまま引用します。
なあ、モモ、とっても長い道路をうけもつことがあるんだ。おっそろしく長くて、これじゃとてもやりきれない、こう思ってしまう。そこでせかせかと働きだす。どんどんスピードをあげてゆく。ときどき目をあげて見るんだが、いつ見てものこりの道路はちっともへっていない。だからもっとすごいいきおいで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまいには息がきれて、動けなくなってしまう。道路はまだのこっているのにな。こういうやり方は、いかんのだ。いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。
本書p.52
ひとあし、ひと呼吸、ひと掃きに集中することです。
「今、ここに集中」はまさにマインドフルネスそのものです。
さいごに
児童書ながらも、大人も学ぶことの多い『モモ』。
時間について見つめ直す良いキッカケになります。
単純にストーリーも楽しめるので老若男女におすすめです。
将来、自分の子供にも読んでもらいたいと思える1冊です!
モモ
著者:ミヒャエル・エンデ
出版社:岩波少年文庫
ページ数:398
発売日:2005/6/16
- 本書は、時間どろぼうである「灰色の男たち」とモモの対決というスリルあふれる展開を通して、1分1秒と時間に追われる現代社会へ、警鐘を鳴らしている。たとえば、モモの友だちだったニノが「スピード料理」の店を始め、大繁盛しているせいで他人とわずかな世間話をする暇もないというように、時間を盗まれた人たちは、現代の私たちの姿そのものとして描かれている。昨今、モモのように際限のない時間の中で、空想をめぐらせ楽しむ生活はほとんど忘れられている。子どもばかりでなく、忙しい大人たちにも夢見ることの大切さを教えてくれる本だ。(砂塚洋美)
ONE PIECE感動名場面のDr.ヒルルクのように「まったく良い人生だった!!!!」と思える後悔のない生き方をしていきたいですね。
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最後まで記事をお読みいただきありがとうございました。ではまた。
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