村山昇『360度の視点で仕事を考える 働き方の哲学』を紹介します。
著者である村山昇さんは17年間のサラリィマン生活にピリオドを打ち「働くことは何かの翻訳者になる」という目標を持って企業内研修の事業者として独立された方です。
本書を読んで感じたことは「働くことの翻訳者」は伊達じゃない、ということです。
さすが、と言わざるを得ない充実した内容の本でした。
世の中にはハウツー本や精神論の本はたくさんありますが、ここまで「働くこと」の意義や哲学の領域まで踏み込んだ本は読んだことがありません。
唯一無二の本です。
「360度の視点」というのも大げさではありませんね。
仕事とは何か、幸福とは何かなどの問いに対して、さまざまな偉人の引用やイラストで分かりやすく指針を与えてくれます。
本書が言いたいことはコレです。
ただ経験するだけでは成長しない
日々の仕事に忙殺されているサラリィマンこそ読むべき1冊です。
読書で得た物を自分の血肉とするために、樺沢紫苑さんの『アウトプット大全』『行動最適化大全』の実践として、3つの切り口でレビューします!
「3つの気づき」…今まで知らなかったこと、心を動かされたこと
「3つのToDo」…すぐに実践しよう、今日から取り入れよう
「3つの名言」…最も心に響いた一文
3つの気づき
SMARTな目標設定
僕の会社では年2回、上期・下期の自分の目標を設定し、上期末・年度末に上司と目標の達成状況を振り返る時間があります。
自分の目標の達成状況が人事評価にも効いてくるのですが、どんなに頑張っても全く評価されたかった時期がありました。
ほんと、下から2番目の評価とかばかりでしたね。
振り返ってみると、目標設定が誤っていました。
ほぼ実現不可能なでっかい目標設定をしていたので、上司と振り返りの際には「目の前の仕事でいっぱいいっぱいで目標が達成できませんでした」ということばかり言っていました。
身の丈にあった目標設定って大事です。
あまりに目標が大きすぎると何から手を出せば良いのかわかりませんし、モチベーションが上がりません。
具体的な行動に移せるように、SMARTな目標設定が大事です。
Specific 具体的な
Measurable 測定可能な
Achievable 達成可能な
Relevant 関連のある
Time Bound 期間を決めて
「怠惰な多忙」から抜け出せ
「目の前の雑務に追われて重要な仕事に手が回らず成果が上がらない」
というサラリィマンは多いのではないでしょうか。
僕もその一人です。
自分の仕事を振り返ってみると、雑務という生産性の無い仕事にいかに時間を取られているかがわかります。
僕の実感としては、生産性の無い雑務に時間の8〜9割を占められている気がします。
こんな生産性のない仕事に追われていることを、哲学者セネカは「怠惰な多忙」と言い、次のような示唆深い言葉を残してくれています。
我々にはわずかな時間しかないのではなく、多くの時間を浪費するのである。人間の生は、全体を立派に活用すれば、十分に長く、偉大なことを完遂できるよう潤沢に与えられている。
『生の短さについて』セネカ

セネカ『生の短さについて』は僕が大好きな本で、定期的に読み返しています。
本当に重要な仕事をこなすためにはどうすれば良いか。
本書『働き方の哲学』では、自己啓発本の名著中の名著『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)からの引用で次のように言っています。
第2領域(緊急で無いけど重要なこと)に注力せよ

35年で6万2440時間も仕事に費やしている
仕事にどれだけの時間を拘束されているのか計算したことありますか?
1日8時間労働と仮定すると、年間1784時間、35年働くと6万2440時間にもなります。
毎日残業していれば、さらに膨れ上がります。
恐ろしい時間を費やしていることになります…
あたなは、これほどの時間を投入する「働くこと」についてしっかり考えているでしょうか??
3つのToDo
「怠惰な多忙」を抜け出すため「重要なこと」から取り組む
雑務に追われる前に、仕事はまず「第2領域」から始めることにしました。

頭がフレッシュな朝のゴールデンタイムのうちに重要な課題に挑戦するのは脳にとっても最適な行動でもあります。
とは言っても「第2領域」って難しい課題ばかりですので、漠然と取り組もうとすると一歩も前に進まず無駄な時間を過ごしかねません。
仕事を細分化して、手っ取り早くこなせる仕事から始めることで、ロケットスタートのように仕事に勢いをつけることがポイントです。
完璧でなくてもまず終わらせる
Googlの発想がませに「完璧を求めすぎない」だそうです。
まず、完璧じゃなくても仕事を終わらせること。
資料作成をしていると完璧を求めたくなりますが、それではいつまでも成果品ができなくなります。
自分なりに完璧だと思っても、上司の意向などで修正せざるを得ないことが多々あります。
そもそも論点や方向性が上司の意向と全く違ったら、最初からやり直しになることもあります。
つまり、最初から完璧にするのではなく、大体のアウトラインでもできたらまず上司に納品することを心がけています。
このことを心がけることで、仕事がだいぶ捗るようになりました。
自分にとっての成長とは何か?を考える
給料や出世などの外発的な動機を働くことの目的に置いていては、いつまでも長続きしないですし、終わりがありません。
人事評価が悪かった、同期に抜かれた…といったように苦しむだけです。
自分の成長が一番のモチベーションになります。
これは間違いありません。
「1日1%のわずかな改善であっても、1年続ければ元の37倍以上になるのだ。」
『成功のコンセプト』三木谷浩史
昨日の自分よりも1%でも成長すること。
1%ならなんとかできだと思いませんか?
「どのように成長したいのか?」は人それぞれ違いますので、「自分がワクワクできる成長とは何か」を考えてみたいと思います。
3つの名言
No doing,No growth.(動かなければ成長しない)
本書より
小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただひとつの道
本書より(イチローの言葉)
この世に事実はない。あるのは解釈だけ。
本書より(ニーチェの言葉)
さいごに
僕自身、毎日のように残業の仕事漬け人生で良いのか悩んでおり、僕が感じていたモヤモヤが言語化され、それだけでもこの本に出会えて良かったと感じました。
今後も、節目節目で読み返したいですし、自分の子供にも将来読ませたいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。ではまた。
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