どうも、もりひろです。
『幸せになる勇気』を読みました。
大大大ベストセラーの『嫌われる勇気』の続編です。
本書は、10年連続で年間ランキングTOP10入りという異例の爆売れ本(2024年現在)『嫌われる勇気』の続編となります。
『嫌われる勇気』のレビュー記事でも紹介しましたが、哲人と青年の対話が魅力的(というか青年のツッコミが面白すぎ)で、そのやりとりがまた読めるというだけで、迷わず購入しました。
前作がバカ売れした本の続編というのは、大概内容が薄っぺらだったりしがちだと思いますが(完全、個人的な見解です)、本書は前作に負けないくらい充実の内容です。
青年のツッコミにも磨きがかかっています。
前作では図書館司書だった青年は、その後教師に転職し、アドラー心理学流の「叱らない・褒めない」を実践しますが、教室は荒れ放題に…アドラー心理学に失望・怒りを抱いて哲人のところに乗り込む場面からスタートします。
青年「結論から申し上げると、アドラーの思想はペテンです。とんだペテンです。いや、それどころか、害悪をもたらす危険思想と言わざるをえません。先生が勝手に信奉する分には自由ですが、できれば金輪際、口をつぐんでいただきたい。その思いを胸に、そしてあくまでもあなたの目の前でアドラーを打ち捨てるべく、今宵最後の訪問を決意したのです。」
『幸せになる勇気』
ペテン!(笑)
前作の最後は「わたしも先生を信じます。歩きましょう、ともに!」と言いながら、晴れやかな面持ちで哲人の書斎を後にした青年の面影はどこに。(笑)
今作でも、青年のツッコミはさらに磨きがかかっています。
「何が常識のアンチテーゼだ!そんな思想など、汚水をすするドブネズミにでも食わせておくがいい!!」「そうやって、子どもたちを純真無垢な天使に仕立てる老人癖は、金輪際やめていただきたい!」「ペッ!!どうせ説教じみた隣人愛を語るのでしょう。聞きたくもありませんね!」「軽々しく同意するんじゃない、この時代遅れのソクラテスめ!」
すごいですね、反抗期の少年みたい。いや〜最高です。(笑笑)
本書の魅力
前作同様、哲人に対する青年の止まらぬツッコミが良かったです。
哲学系の話はどうしても抽象論に終始しがちで、一見分かったような気になってしまいます。
しかし、本書は(青年は)それを許しません。
どこまでも具体的な解決策を求めます。
先生と話していると、最後はいつも抽象的な理想論になっていく。気持ちのよい、大きな言葉を聞かされ、「わかったつもり」になっていく。 しかし、問題は抽象ではなく具体です。空論ではなく、地に足のついた実論をお聞かせいただきましょう。具体的に、教育者はどのような一歩を踏み出せばいいのですか? あなたはずっとそこをごまかしたままじゃありませんか、いちばん大事な具体の一歩を。遠いのですよ、先生の話は。いつも遠くの風景ばかりを語って、足元のぬかるみを見ようとしていない!
『幸せになる勇気』
こんなツッコミばっかりしてくれます。(笑)
徹底的に具体的な話をしてくれますので、読者としてはとてもありがたいです。
読者に疑問を抱いたまま置いてけぼりにしません。
こういう人こそ読んでほしい!
子育て中のパパママこそ読むべし
僕は、本書を読んだ時点で、2人の娘(長女5歳、次女3歳)を子育て中なのですが、子育てに苦労しているパパママに超オススメの本です。前作のレビューでも同じこと言いましたが。
叱ることは銃を片手にコミュニケーションをとっていることと同義だと言います。
この言葉には正直衝撃を受けるとともに、確かにな、と思い知りました。
結局、叱ることって、大人という権威を盾に子どもを威圧しているだけなんですよね。
イライラした感情に任せているだけ。
ほんと叱ることは未熟なコミュニケーションです。
妻が毎日ガミガミ怒っているのを見て、未熟だな〜と思って見ています。(本人に言うとブチ切れられるので心の中で思うだけです)
アドラーは「怒りとは、人と人を引き離す感情である」と語っています。
『幸せになる勇気』
一方で、褒めることもアドラーは禁止しています。
褒めるというのは「能力が上の者が下の者に対して行う評価」なので、縦の関係が前提となってしまいます。
アドラーは、横の関係、つまり対等な関係を重視しますので、縦の関係を前提とする褒める行為は論外なわけです。
加えて、褒められたい=承認されたい、なので、承認欲求の沼から抜け出せなくなります。
叱責は暴力と同じで未熟なコミュニケーション。褒めることは承認欲求の沼に落とす行為。
理屈はわかったけど、叱ってもだめ・褒めてもだめ、じゃあ具体的にどうすれば良いのか。
アドラーの回答はシンプルです。
尊敬せよ。
尊敬とは、ありのままのその人を見ることで、その人の存在自体に価値を置くこと。
“ありのままを見る”ことについて、さらに具体的なアドバイスをしてくれます。
”子供達の関心ごと”に関心を寄せよ。
そして、「遊んであげる」ではなく、自分自身がそれを楽しむこと。
うん…耳が痛い話です。
僕は「遊んであげる」気持ち100%で子ども接していました。反省反省。
『嫌われる勇気』からの引用ですが、ん〜なるほどなぁと唸った部分を紹介します。
われわれは他者を見るとき、ともすれば「自分にとっての理想像」を勝手にこしらえ、そこから引き算するように評価してしまうものです。 たとえば、親のいうことにいっさい口答えせず、勉強もスポーツも真面目にこなして、いい大学に進んで、大きな会社に入る。そんな——ありもしない——理想の子ども像と引き比べて、わが子にあれこれ不平不満を抱いてしまう。理想像としての100点から、徐々に減点する。これはまさしく「評価」の発想です。 そうではなく、ありのままのわが子を誰とも比べることなく、ありのままに見て、そこにいてくれることを喜び、感謝していく。理想像から減点するのではなく、ゼロの地点から出発する。そうすれば「存在」そのものに声をかけることができるはずです。
『嫌われる勇気』
「課題の分離」を意識すると、それは子供の課題だと言い聞かせて全く立ち入らないとか、褒めてもだめ叱ってもだめだからといって放っておくとか、ややもすると放任主義的になりがちですが、アドラーが言いたいのは決してそういうことてではありません。
子供と同じ目線で真剣に接することが大切なんだと思いました。反省反省。
著者の一人である岸見一郎さん自身が、子育てで苦労していた時に初めてアドラー心理学と出会い、アドラー心理学流の子育てを実践してきたそうです。
僕はこちらの本も読みましたが、非常になりました。
ビジネスマンこそ読むべし
叱らない、褒めない、その人ありのままを見ろ。
これは、子育て論や教育論にとどまらず、部下や後輩指導でも威力を発揮すると思います。
つまり、ビジネスマンも必読の書では無いでしょうか。
アドラー心理学では、横の関係を大切にするため、縦の関係が大前提となる褒めることを禁止していますが、ビジネスの場面では大体が縦の関係です。
その点、部下や後輩に対する指導では、褒めることも大切であるように個人的には思います。
あらゆる自己啓発書の原点とも言われているデール・カーネギーの『人を動かす』においても、褒めることの重要性が言及されています。
部下や後輩指導に苦労している人は、本書『幸せになる勇気』と一緒に『人を動かす』もおすすめです。
岸見一郎さんは次のような本も執筆しています。
さいごに
本書のあとがきで、岸見一郎さんは次のように言っています。
本書『幸せになる勇気』は、アドラーの思想を実践し、幸福なる生を歩んでいくための「コンパス」となる一冊です。前作で提示した目標に向かって、どのように進んでいけばいいのかを示す、行動指針と言い換えてもいいでしょう。
『幸せになる勇気』
ほんとその通りで、前作の『嫌われる勇気』よりも具体的な行動指針を示してくれた本です。
また、本書の最終的な結論は「愛」です。
愛する勇気、すなわちそれが幸せになる勇気である、と。
どういうことなのかは本書に譲りますが、本書の終盤では、エーリッヒ・フロムの『愛するということ』が頻繁に引用されています。
愛こそがより幸福に生きるための最高の技術であり、愛する技術は学ぶことができると説く、世界的ベストセラーです。
今度、『愛するということ』を読んでみたいと思っています。
幸せになるための具体的指針が満載の本ですので、ぜひ、気になった方は読んでみてください!
幸せになる勇気
著者:岸見一郎、古賀史健
出版社:ダイヤモンド社
ページ数:250
発売日:2016/2/26
- 前作『嫌われる勇気』でアドラーの教えを知り、新たな生き方を決意した青年。その彼が3年ぶりに哲人のもとを訪れる。
- アドラーの教えを実践すべく図書館司書を辞めて教師となった彼が語る衝撃の告白。それは「アドラーを捨てるべきか否か」という苦悩だった。アドラー心理学など、教育現場でも現実社会でも通用しない机上の空論だとする彼に、「あなたはアドラーを誤解している」と哲人は語る。
- 哲人と青年の対話は、教育論に始まり、仕事論、組織論、社会論、人生論へと及び、最後には「真の自立」と「愛」というテーマが浮かび上がる。そして、最後に哲人が説くのは、誰もが幸せに生きるために為すべき「人生最大の選択」についてだった。
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最後まで記事をお読みいただきありがとうございました。ではまた。
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