どうも、もりひろです。
「知の巨人」「マネジメントの父」と称されるピーター・F・ドラッカー。
普通のサラリーマンでも、この人の名前を知らない人はいないのではないでしょうか。(数年前に「もしドラ」ブームってありましたよね?)
僕は大学時代、商学部に在籍していたこともあり、企業経営などのビジネス関連の本を読み漁っていました。

その時、ピーター・F・ドラッカーの本も何冊か読みましたが、正直なところ、僕には難解過ぎて全体像を理解するまでには至りませんでした…
今回紹介する『プロフェッショナルの条件』という本。
この本には、「成果を上げるための考え方・スキル」が凝縮されています。
しかし、単なるハウツー本に収まらないのがこの本の凄いところです。この本は、「個人のあり方」について本質的に論じられているのです。
大学時代は読んでいなかったですが、社会人になって何となく手に取って読んでからというもの、10年以上、何回もこの本を読み返しては自分を戒めています。

サラリーマンに限らず、自分の知識・スキルを活かして日々戦う全ての社会人にとってのバイブルと言える本です。
濃密すぎるこの本の内容を全て紹介することはできませんので、僕が特に好きな個所である「ドラッカーの人生を変えた7つの経験」に絞って紹介します。
「知の巨人」「マネジメントの父」と称されるピーター・F・ドラッカーの人生を変えた経験とは何なのか、気になりませんか?
「人生を変えた7つの経験」
成果を上げるためにはどうしたらよいかという問いに対する答えは、「いくつか簡単なことを実行することである」
Part3.1章
ここでいう「いくつか簡単なこと」というのが、次の7つの経験から得られた教訓のことです。
- 10代後半(商社見習い)作曲家ヴェルディが最後に書いた「ファルスタッフ」から得たものヴェルディの教訓
目標とビジョンを持って行動する
- 10代後半(商社見習い)彫刻家フェイディアスが彫刻の背中まで完璧に彫る姿勢から得たものフェイディアスの教訓
神々が見ている
- 20代前半(新聞記者)有能な記者として知らなければならないことを全て知ろうとした結果得たもの記者時代の教訓
一つのことに集中する
- 20代前半(新聞記者)編集長と徹底的に仕事を振り返る時間を過ごしたことで得たもの編集長の教訓
定期的に検証と反省を行う
- 20代半ば(投資銀行員)シニアパートナーからの叱責で得たものシニアパートナーの教訓
新しい仕事が要求するものを考える
- 30代半ば(大学教授)イエズス会やカルヴァン派が採用した学習方法から得たものイエズス会とカルヴァン派の教訓
書き留めておく
- 40代前半経済学者シュンペーターとの会話から得たものシュンペーターの教訓
何によって知られたいか
①ヴェルディの教訓
ドラッカーは、信じがたい力強さで人生の喜びを歌い上げるオペラ「ファルスタッフ」を観て、衝撃を受けます。
「ファルスタッフ」は、作曲家ヴェルディが80歳の時に作った作品です。
80歳という高齢でなぜこんな大変な仕事に取り組んだのか、その理由を聞かれたヴェルディは、次のように語ります。
いつも失敗してきた。だから、もう一度挑戦する必要があった。
ドラッカーは、この言葉を道しるべにすることを決意しました。
いつまでも諦めずに、目標とビジョンを持って自分の道を歩き続けよう。失敗し続けるに違いなくとも完全を求めていこう。


失敗しても諦めないことの大切さは、古今東西、いろんな人々が語っています。
私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ。
トーマス・エジソン
成功する人は、失敗から学び、別な方法でやり直す。
デール・カーネギー
失敗の言い訳をすれば、その失敗がどんどん目立っていくだけです。
シェイクスピア
世の中に失敗というものはない。チャレンジしているうちは失敗はない。あきらめた時が失敗である。
稲盛和夫
長い目で見ると失敗はない。なぜなら、諦めないから。
森岡毅
②フェイディアスの教訓
紀元前400年頃のギリシャの彫刻家フェイディアスは、アテネのパルテノン神殿の屋根に建つ彫刻群を完成させた人物です。

この写真を見てわかる通り、彫刻像の背中は見えませんよね。
でもフェイディアスは、彫刻像の背中も彫りました。
フェイディアスの請求書を受けたアテネの会計官は、支払いを拒みます。
「誰も見えない背中部分を彫って請求するとはなにごとか」
これに対し、フェイディアスは次のように答えます。
そんなことはない。神々が見ている。
ドラッカーは、「あなたの本の中で最高のものはどれか」と聞かれると、「次の作品です」と本気で答えていたといいます。
神々しか見ていなくとも、完全を求めていかなければならない。

この話を読み返すたびに、真摯な姿勢で仕事に臨まなければいけないと反省します。
他の者が行うことについては満足もありうる。しかし、自らが行うことについては、常に不満がなければならず、常により良く行おうとする欲求がなければならない。
ドラッカー名言集「仕事の哲学」

ストイックですね。
ドラッカーは、別の場面で、「大事なものは、地位ではなく責任である」という趣旨のことも言っています。
③記者時代の決心
ドラッカーは、商社見習い後に証券会社に勤めるも、1929年の世界恐慌で会社が倒産したため、新聞社の記者として働き始めました。
そして、有能な記者として全てを知ろうと勉強していく中で、自分なりの勉強方法を身につけるのです。
一時に一つのことに集中して勉強する

常に新しいことを学んでいく姿勢が大事ということですね。まさに継続学習。
かの有名なアリストテレスの「無知の知」というやつです。
④編集長の教訓
ドラッカーは記者時代、1年に2度、1日半かけて、編集長と半年間の仕事ぶりについて話し合う時間を設けていました。
話し合いの内容は主に次の6つです。
- 一生懸命頑張った仕事
- 一生懸命頑張れなかった仕事
- お粗末な仕事や失敗談
- 集中すべきことは何か
- 改善すべきことは何か
- 勉強すべきことは何か
後年、ドラッカーは、毎年夏に2週間ほど時間を作り、1年の反省と今後1年の優先順位を決めていました。
定期的に検証と反省を行う

ローマ帝国五賢帝時代の哲人皇帝マルクス・アウレリウスも、毎日、日記で自分の行動を振り返っていました。
『自省録』として今も世界中で読み継がれています。
『自省録』は、『プロフェッショナルの条件』同様、僕の必携書です。
⑤シニアパートナーの教訓
ドラッカーは、保険会社で証券アナリストを務めた後、投資銀行に移って、エコノミストとしてシニアパートナーの補佐役を務めました。
周りからは毎日のように褒められていたドラッカーでしたが、補佐しているシニアパートナーから次の叱責を受けます。
君は、思っていたよりもはるかに駄目だ。あきれるほどだよ。
今君は補佐役だ。ところが相も変わらずやっているのは証券アナリストの仕事だ。
今の仕事で成果を上げるには、いったい何をしなければならないと思っているのか。
これ以来、ドラッカーは、新しい仕事を始めるたびに「新しい仕事で成果を上げるためには何をしなければならないか」を自問していました。
新たしい任務が要求するものについて徹底的に考える

サラリーマンはいろんな部署への異動が多いと思います。
新しい部署でこれまでと変わらない仕事の仕方をしていては駄目だということですね。肝に命じます。
⑥イエズス会とカルヴァン派の教訓
アメリカで大学の教授となったドラッカーは、15世紀から16世紀のヨーロッパを勉強のテーマとしました。
その時、「カトリックのイエズス会(南ヨーロッパ)」と「プロテスタントのカルヴァン派(北ヨーロッパ)」が、同じ学習方法を採用して成長していたことを知ります。
学習方法とは次のとおりです。
- 重要な決定をする際に、その期待する結果を書き留める。
- そして実際の結果とその期待を見比べる。
この学習方法は、次のことを明らかにしてくれます。
- 自分の強み
- 改善すべきこと
- 自分の弱み(つまり、自分が行おうとしてはいけないこと)
ドラッカーは、この学習方法を50年以上続けていました。
書き留めておく

PDCAを回すということは大事です。
「自分の強み」「強みの伸ばし方」「自分の弱み」を知ることが継続学習の要になります。
僕は歴史が苦手なので、イエズス会やカルヴァン派と聞いても、正直、ポカーンです。
イエズス会と言えば、この人?程度のレベルです。笑

⑦シュンペーターの教訓
「創造的破壊」という言葉で有名なオーストリアの経済学者シュンペーターとドラッカーの父との会話からも、ドラッカーは教訓を得ました。
ドラッカーの父の「自分が何によって知られたいか、今でも考えることはあるか」という質問に対するシュンペーターの回答です。
その質問は今でも、私には大切だ。でも、昔とは考え方が変わった。本や理論で名を残すだけでは満足できない歳になった。人を変えることができなかったら、何にも変えたことにはならない。
シュンペーターは、この会話の5日後に亡くなりました。
- 何によって知られたいかを自問しなければならない
- その問いに対する答えは、歳とともに変わっていかなければならない
- 本当に大切なことは、人を素晴らしい人に変えること

自分は周りにどのような貢献ができるのか。
「自分、自分…」ではなく、他人の幸せを考えられる人格者になりたいですね。
誰かの為に生きてこそ、人生には価値がある。
アインシュタイン
万人の福利を願うことが自らの福利につながる。自分や自分の所属する小社会のみの福利を願う人は利己的であって、そうすることは、けっしてその人のためにはならない。
ガンジー
他人のための行いにこそ価値があり、それが人生の重要な秘訣のひとつだ。
ルイス・キャロル(『不思議の国のアリス』著者)
まとめ
含蓄のある考え方ばかりです。
7つの教訓全てをすぐに実行することは難しいですが、これらの教訓を意識するだけでも、徐々に自分の行動が変わってくるはずです。
今回紹介したのは、ほんの一部の内容で、まだまだこの本の凄さをお伝えしきれていません。
『プロフェッショナルの条件』には、成果を出すための具体的なスキルも書いてあります。
ビジネスマンなら読んで損はありません。
気になった方は、ぜひ手にとって読んでみてはいかがでしょうか。
最後まで記事をお読みいただきありがとうございました。今日も一歩前進。ではまた。
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