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【超意訳シリーズ】東宝(株)の決算資料をわかりやすく解説

閑話
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この記事がおすすめな人
  • 東宝(株)の決算資料の概要を知りたい人
  • 決算資料から何が読み取れるのかを知りたい人
  • 会計初心者

どうも、もりひろです。

上場企業の経理部在籍・会計好きサラリーマンの僕が、決算資料を超意訳するシリーズです。

今回は、TOHOシネマズで馴染みの深い「東宝(株)」です。

もりひろ
もりひろ

大学時代に会計士を目指していた僕は、趣味的に決算書を眺めているので、せっかくなら要約しよう、というだけです。笑

有価証券報告書は、100ページを超えることもありますからね…

「決算資料を読みたいけど読む時間がない!」という忙しいビジネスマンや、「決算資料を見て何がわかるの?」という会計初心者の方にも分かるような内容を目指していきます。

損益計算書や貸借対照表はほとんど出てきません!

決算書から分かること
  • どんな会社なのか
  • 何で稼いでいるのか
  • 儲かっているのか
  • どんな課題に直面しているのか
  • 今後の目標は何か

主に、有価証券報告書・決算説明資料・ファクトブックなどを中心に、余計な解釈は極力控え、客観的な情報のみを記載することを心がけています。

※ 以下、有価証券報告書のことを「有報」と略します。

“分かりやすく”を第一に意訳する中で、関係者の方に不愉快な気持ちにさせてしまいましたら、大変申し訳ございません。
他意はございませんので、何卒ご了承願います。

2022年2月期の決算内容です。

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どんな会社なの?

有報のここに記載(有報の目次)
ゴジラ
ゴジラ

東宝(株)のことなら俺に任せろ。

もりひろ
もりひろ

ゴジラさん、よろしくお願いします。

ゴジラ
ゴジラ

東宝無くして俺は無し。俺無くして東宝は無し。

まさに一心同体だからな。

もりひろ
もりひろ

確かに、その通りですね。

小さい頃、僕も良くゴジラの映画を観にいきましたよ。

最近は「シン・ゴジラ」も観ました。

ゴジラさん、大活躍ですね。

ゴジラ
ゴジラ

2018年〜2021年の中期経営戦略「TOHO VISION 2021」では、俺を軸とした戦略を展開していたからな。

俺はまだまだ活躍していくぜ。

TOHO VISION 2021」より
ゴジラ
ゴジラ

早速、東宝の紹介から始めるぞ。

会社東宝株式会社
設立1932年8月
資本金103億円
グループ55社(東宝株式会社を含む)
従業員数単体:352人
グループ会社:3,239人
主な事業の内容映画事業(制作・配給、興行、映像ソフト等の制作・販売)
演劇事業
不動産事業
もりひろ
もりひろ

創業して90年なんですか!?すごいですねぇ!

ゴジラ
ゴジラ

だろ?

東宝(株)の経営理念からも、企業として長く存続できるている秘訣が分かるぞ。

「健全な娯楽を広く大衆に提供すること」を企業の存在意義(パーパス)とし、「吾々の享くる幸福はお客様の賜ものなり」を大切な価値観(バリュー)とし、「朗らかに、清く正しく美しく」を行動の理念(モットー)とする

東宝(株)の経営理念
もりひろ
もりひろ

「朗らかに、清く正しく美しく」!僕もそうありたいなぁ。

でも、ゴジラさんの行動とは真逆のような…

ゴジラ
ゴジラ

ん?何か言ったか?

もりひろ
もりひろ

あ、いえいえ。なんでもないです…(こわい)

ゴジラ
ゴジラ

東宝と聞けば、俺が守っている新宿のTOHOシネマズを思い浮かべる人も多いだろう。

でも、「TOHOシネマズ(株)」は、東宝(株)のグループ会社の1つで、映画事業の中の「興行」を担う子会社だ。

プチ解説

興行とは、配給会社が配給する映画を上映して収入を得るビジネスです。

映画業界のビジネスモデルはこのようになっています。(「FACT BOOK」より)

もりひろ
もりひろ

そういえば、映画が始まる前のオープニングで、岩に打ちつける荒波の映像をよく見ますよね。

あれは、「制作」・「配給」会社としての東宝ということですね。

ゴジラ
ゴジラ

お、よくわかったな。凄いぞ。

そんなお前に、コッソリ、東宝の社員の平均年収を教えてやろう。

気になるだろ?

有報より
もりひろ
もりひろ

いや、コッソリというか、どこの会社も有報に普通に載せてますが…

  • 創業して90年以上。
  • 事業内容は、映画事業・演劇事業・不動産事業の3つ。

何で稼ぐ会社なの?

有報のここに記載(有報の目次)
ゴジラ
ゴジラ

東宝といえば、映画で稼いでいると思っていないか?

もりひろ
もりひろ

え?違うんですか?

ゴジラ
ゴジラ

甘いな。お前はまだまだ「東宝のシンの姿」を分かっていない。

「シン・TOHO」を教えてやる。

もりひろ
もりひろ

最近、「シン・〜」好きですね…

ゴジラ
ゴジラ

「シン・TOHO」の姿を知りたければ、セグメント情報を見るといい。

もりひろ
もりひろ

えっ。ゴジラさんが、急に難しい言葉を喋り始めた…

ゴジラ
ゴジラ

東宝は何で稼ぐ会社なのか。

東宝の売上の内訳(比率)を見れば一目瞭然だ。

FACT BOOK」より
もりひろ
もりひろ

へぇ。映画で売上の6割を占めている一方で、不動産事業で3割もあるんですね!

知らなかった〜。

ゴジラ
ゴジラ

やっぱり、企業が生きていくには、リスクを分散する必要があるからな。

もりひろ
もりひろ

なんか、経営者っぽいこと言っている…

東宝の主な賃貸ビル

  • 有楽町センタービル(有楽町マリオン)
  • 東宝日比谷ビル(日比谷シャンテ)
  • 東京宝塚ビル
  • 東宝シアタークリエビル
  • 新宿東宝ビル
  • HEPナビオ
  • 東宝南街ビル
  • 東宝の儲けの源泉は、もちろん映画。
  • しかし、実は、不動産会社としての一面もある(売上の3割)。

儲かっているの?

有報のここに記載(有報の目次)
もりひろ
もりひろ

ぶっちゃけ、東宝さんは儲かってるんですか?

コロナもあるし、厳しいそうですが…

ゴジラ
ゴジラ

下のグラフで、売上・営業利益の推移を見て欲しい。

今期は売上2,283億円、営業利益399億円となっている。

FACT BOOK」より。(単位:百万円)
FACT BOOK」より。(単位:百万円)
ゴジラ
ゴジラ

コロナは確かに強敵だ。

2021FYは相当落ち込んだが、2022FYは少し盛り返した。

でも、コロナ前の水準には至っていないのが現状だ。

もりひろ
もりひろ

セグメント別の売上推移を見ると、映画事業がモロに落ち込んでますね。

“映画は水モノ”という印象を受けます。

一方で、不動産事業は安定的に稼いでいますので、この辺が東宝の強みになるかもしれないですね。

FACT BOOK」より
ゴジラ
ゴジラ

よく分かっているな。

そう!やっぱり、企業が生きていくには、リスクをぶん…

もりひろ
もりひろ

あ、もう分かりましたから。

ゴジラ
ゴジラ

もりひろ
もりひろ

意外と素直だな。

プチ解説

有報では、会社が自分自身の経営状況を分析して記載してくれています。東宝の分析を見てみましょう。

  • コロナの厳しい状況は緩和されつつあるが、景気の持ち直しはイマイチ。
  • 「劇場版 呪術廻戦」「シン・エヴァンゲリオン劇場版」「竜とそばかすの姫」などが大ヒット。
  • スクリーン数は、全国で10スクリーン像の712スクリーン。
  • 演劇事業では、「レ・ミゼラブル」「舞台『千と千尋の神隠し』」など、前年度と比べ公演数が増加。
  • 不動産賃貸事業では、オフィル市況の変化や商業施設の休館等で厳しい状況下。空室率は0.3%で推移。
もりひろ
もりひろ

僕は最近、映画館に行けていないので、どれも観てないです(泣)

  • 2022年2月期決算は、前年よりも増収増益。
  • しかし、コロナ前の水準には届いていない。

どんな課題に直面しているの?

有報のここに記載(有報の目次)
ゴジラ
ゴジラ

天下の東宝といえども、ビジネスに課題はつきものだ。

もりひろ
もりひろ

コロナ以外で、東宝さんでも課題があるんですか?

ゴジラ
ゴジラ

もちろん。例えば・・・

①映画・劇場で、十分な観客動員を得られないリスク

出演者やスタッフ等のトラブルや撮影中の事故なども、この中の一つだな。

もりひろ
もりひろ

あ〜、それはそうですよね。

一番の課題ですね。

東宝さんとしては、どうやって対処してるんですか?

ゴジラ
ゴジラ

ここでもリスク分散が基本だ。

幅広い良質なコンテンツで、バランスのとれたラインナップを準備すること。

制作段階のトラブル防止には、管理の徹底と代替策の準備に限る。

もりひろ
もりひろ

映画上映前に、動画撮影禁止の広告が流れますよね。

これもリスクなんでしょうか。

ゴジラ
ゴジラ

そうだな。

難しくいえば、②知的財産の侵害や不当転売のリスク、となる。

特に海外やインターネットで被害が拡大する可能性がある。

この課題に対しては、事前対策はもとより、顕在化した時には、法的措置をとるなど毅然とした対応を取ることが大切だ。

もりひろ
もりひろ

我々消費者も、ネットで海賊版を観ない、チケットを不当転売しないなど、エンターテイメントを純粋に楽しむ心を持たないといけないですね。

ゴジラ
ゴジラ

東宝の経営理念「健全な娯楽を広く大衆に提供する」ためにも、みんなの協力が欠かせないんだ。

もりひろ
もりひろ

分かりました。

ゴジラ
ゴジラ

コロナを契機に、③映画事業のビジネスモデルの変化、が起きていることもリスクだ。

つまり、動画配信サイトで家で視聴することが主流になってしまうことだな。

もりひろ
もりひろ

実は、私も、Amazonプライムばかり観ています…

これ、東宝さんにとっては、一番の課題なのでは!?どうしていくつもりですか?

ゴジラ
ゴジラ

まずは、動画配信サービス会社の戦略を冷静に分析することだな。まずは敵を知ることが大事だ。

そして、映画の魅力を高めていくこと。

これに尽きる。

もりひろ
もりひろ

僕は今でも、本当に観たいものは、大画面・大音量・大迫力の映画館で観たいです。

ゴジラ
ゴジラ

あとは、どの企業でも言っているが、自然災害等のリスクもあるぞ。

もりひろ
もりひろ

自然災害…ゴジラさんのこと?

ゴジラ
ゴジラ

俺のことじゃないからな。

  • いかに魅力あるコンテンツを提供し続けられるか。
  • コロナを契機に映画事業のビジネスモデルにも変化が見え、まさに、「東宝のパーパス(存在)の再定義」が求められている。

今後の目標は?

有報のここに記載(有報の目次)
もりひろ
もりひろ

いろんな課題があることは分かりました。

東宝さんは、今後どのような目標を掲げているのでしょうか。

ゴジラ
ゴジラ

2022年4月に「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」を発表した。

もりひろ
もりひろ

あ、有報の最初の方に記載されているやつですね!

ゴジラ
ゴジラ

その通り。

東宝は2032年に創立100周年となる。

それに向けた長期ビジョンだな。

コーポレートスローガンは「Entertainment for YOU(世界中のお客様に 感動を)」

もりひろ
もりひろ

世界を意識したんですね。

海外展開を積極的にやっていくということでしょうか?

ゴジラ
ゴジラ

そうだな。

そして、海外展開を進めるにあたって、「アニメーションを第4の柱」にすることを宣言したんだ!

「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」より
もりひろ
もりひろ

アニメ!まさにクールジャパンですね!!

ゴジラ
ゴジラ

今後は、映画事業とアニメ事業の両輪で収益を最大化していくことが東宝の強みとなるだろう。

もりひろ
もりひろ

アニメ好きの僕には、大歓迎です♫

  • 創立100周年を迎える2032年に向けた長期戦略を策定。
  • キーワードは「企画&IP」「アニメーション」「デジタル」「海外」
  • 「企画&IP」をあらゆる価値の源泉として、その中でも「アニメーション」を成長ドライバーにし、「デジタル」の力で時間・空間・言語を超え、「海外」での飛躍的成長を実現すべく、果敢に挑戦していく。
  • 映画事業・演劇事業・不動産事業に続く第4の柱としてアニメーション

さいごに

東宝(株)決算資料の超意訳、いかがでしたでしょうか。

最後に簡単にまとめます。

2022年2月期決算
  • 前年よりも増収増益(売上2,283億円、営業利益399億円)。
  • しかし、コロナ前の水準には届いてない。
  • 東宝の儲けの源泉は映画だが、不動産会社としての一面もある(売上の3割)。
  • コロナを契機に映画事業のビジネスモデルにも変化が見えて来ており、まさに、東宝のパーパス(存在)の再定義が求められている。
  • 創立100周年を迎える2032年に向けた長期戦略を策定。
  • 映画事業・演劇事業・不動産事業に続く第4の柱としてアニメーションに力を入れていく。

企業のことを知ると、その商品への熱い想いがわかります。

東宝のことを知って、もっと映画を楽しみましょう!

もりひろ
もりひろ

もう少し深い分析は、また別の機会に解説できればと思っています。

最後まで記事をお読みいただきありがとうございました。

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