どうも、もりひろです。
上場企業の経理部在籍・会計好きサラリーマンの僕が、決算資料を超意訳するシリーズです。
「決算資料を読みたいけど読む時間がない!」という忙しいビジネスマンや、「決算資料を見て何がわかるの?」という会計初心者の方にも分かるような内容を目指していきます。
損益計算書や貸借対照表はほとんど出てきません!
今回は「(株)バンダイナムコホールディングス」です。


ウイングガンダム、かっこよすぎです。
コロナ禍の「勝ち組業界」の1つが家庭用ゲーム機業界です。
テレビゲームは「ステイホーム」の娯楽として最適ですよね。
バンダイナムコの業績はどうだったのでしょうか?
主に、有価証券報告書・決算説明資料・統合レポートなどを中心に、余計な解釈は極力控え、客観的な情報のみを記載することを心がけています。
※ 以下、有価証券報告書のことを「有報」と略します。
君はこの手で歴史の歯車を回してみたくないのか?
シャア・アズナブル
どんな会社なの?

会社 | 株式会社バンダイナムコホールディングス |
設立 | 2005年9月(株式会社バンダイと株式会社ナムコが経営統合) |
資本金 | 100億円 |
グループ | 120社 |
従業員数 | グループ会社全体9,886人 |
主な事業の内容 | 家庭用ゲーム、玩具・模型等の製造販売など |
- 1950年代に山科直治が、繊維会社「萬代産業」の玩具製造子会社「萬代屋」として創業
- 「萬代」とは兵法書「六韜(りくとう)」に出てくる言葉「萬代不易」(永久不変の意)に由来
- 創業者の山科直治曰く「いつの世も人の心を満たす物を作り、絶えない企業の発展を願う」

も、え、あ、が、れ〜
もえあがれ〜
燃え上がれ〜
ガンダム〜〜🎵

この曲は!?

男子の永遠の憧れ、ガンダムで〜す!

かっこよすぎる…

「機動戦士ガンダム」はバンダイナムコグループの象徴的なIP(知的財産)です。
象徴であるぼくが、バンダイナムコの紹介をします。

IP(知的財産)って…?

バンダイナムコと聞いて何を思い浮かべますか?

ガンダムや鉄拳シリーズが思い浮かびます。

そう!それがIP(知的財産)の正体です。

………??

有報には事業内容が紹介されており、そこには次のように記載されています。
IP(Intellectual Property)を最適なタイミングで、最適な商品・サービスとして提供することでIP価値の最大化を図る「IP軸戦略」を軸に、 〜 中略 〜 事業活動を展開しております。
「2022年3月期 有報」より

単純に玩具・模型やゲームソフトを販売することが事業というわけではありません。
バンダイナムコの事業は、IP価値(つまりキャラクターたちの知的財産)の最大化を図る「IP軸戦略」です。

ゲーム、ネット、玩具、映画など、いろいろなエンターテイメントを通してIP価値を育てていくわけですね。
確かに、いろんな場面でバンダイナムコの名前を聞く気がします。
IPのイメージがわかってきた気がします!

バンダイナムコでは、2022年4月に“パーパス”(企業の存在意義)を制定しました。
この“パーパス”はグループの最上位概念と位置付けています。


最近、“パーパス”って言葉をよく聞きますね。
パーパス経営とは、自社の存在意義を明確にしてどのように貢献していくのかという「パーパス(=目的、意図、意思)」を掲げることです。
パーパス経営が注目され始めたのは、SDGs(持続可能な開発目標)が大きなきっかけと言われています。
おすすめ図書はこちら。
著者である名和高司氏のインタビューがHITACHIのホームページにありましたので、ご興味のある方はご覧ください。HITACHI公式ホームページ。

会社も人も、自分の存在意義を常に再確認しながら、自分軸(自分の価値観)に従って決断・行動していかなければなりません。
今日の都合で魂を売った人々の決定などは明日にも崩れ去るものさ。
シャア・アズナブル
何で稼ぐ会社なの?


バンダイナムコはゲームや玩具など幅広く事業を展開していると思いますが、どの事業が主な収益源なんでしょうか?

セグメント情報を見てみよう!
セグメント情報とは、企業の経済活動を業種別や地域別などに分解し、区分ごとの売上高や利益などを表示する情報のことです。
詳細はこちらの記事で解説しています。


デジタル事業が家庭用ゲームやネットワークコンテンツ、トイ事業が玩具や模型ですよね。
やはり家庭用ゲームと玩具・模型が稼ぎ頭ですね!

そうですね。
地域別の売上高を見ると約4割が海外での売上であることもわかります。


日本のアニメは海外でも人気ですからね。
今後も海外の伸びが期待できるかもしれません。
チャンスは最大限に生かす、それが私の主義だ。
シャア・アズナブル
儲かっているの?


2022年3月期決算では、デジタル事業とトイホビー事業が過去最高業績を達成しました。
テレビゲームは「ステイホーム」の娯楽として最適で、コロナ禍でも家庭用ゲーム業界は「勝ち組」の1つとされています。


今期の伸びは特にすごいですね。
有報では、会社が自分自身の経営状況を分析して記載してくれています。
- デジタル事業は「ELDEN RING」や「テイルズオブアライズ」などのワールドワイド向け新作タイトルが好調。
- トイ事業は「機動戦士ガンダムシリーズ」のプラモデルやコレクターズフィギュア、キャラクターくじ等のハイターゲット層(大人層)向け商品が好調。
- 前年度に新型コロナウイルスの影響を大きく受けた映像事業・アミューズメント事業は市場が回復。
戦いとは、常に二手三手先を読んで行うものだ。
シャア・アズナブル
どんな課題に直面しているの?


新型コロナウイルス禍でも業績を伸ばしているバンダイナムコさんに課題はあるのでしょうか?

まず、①特定のIP(知的財産)に依存してしまったり、知的財産等の侵害によってIP価値が毀損してしまうリスクはあります。


確かに1つのIPに依存するのはリスキーですし、模倣品の安価な商品が出回ってしまっては困りますね。

模倣品排除を含む知的財産の適切な活用と保護が欠かせません。
バランスのとりれたIP・事業・地域ポートフォリオの確立が重要ですね。

バランスのとれたIPを創出していくためには、ゲーム開発などの研究開発費が大きくなりますね。


その通りです!
「ゲーム業界には天国と地獄しかない」という言葉があります。
つまり、ヒットするか否かで業績が乱高下してしまいます。

天国と地獄…

なので、ゲーム業界の財務諸表には次の特徴があります。
①キャッシュリッチ(貸借対照表の「現金及び預金」の金額が大きい)
②自己資本比率が高い


財務省による「法人企業統計調査(令和2年度)」によると全業種平均の自己資本比率は40.7%ですので、バンダイナムコの自己資本比率がいかに高いかが分かるかと思います。

ほんとだ。
安定した財務基盤がないと成り立たない業界なんですね。

2つ目の課題は主にトイ事業に関わる話ですが②少子化の進行です。
ターゲット層や販売地域の拡大などで対応していく必要があります。


ガンダムのような全世代が楽しめるIPを増やしていかないといけませんね。
迷いは自分を殺すことになる。ここは戦場だぞ!
シャア・アズナブル
今後の目標は?


バンダイナムコでは2022年4月に3か年の中期計画を発表しました。

どのような計画なのでしょうか?

IP軸戦略ということには変わりないですが、ファンや社会、グループ社員などと「深く」「広く」「複雑に」つながることを目指していきます。
ビジョンは「Connect with Fans」です。

一番のポイントを教えてください。

一番のポイントは何と言っても「IPメタバース」です!

メタバース…?

第一弾として「ガンダムメタバース」から始動します。
ガンプラやゲーム、アニメなどのカテゴリーごとにバーチャルコミュニティーをつくり(ガンダムの世界観になぞらえ「コロニーを打ち上げる」と言っています)、全てをバンダイナムコIDでつなげます。

いや、なんか良く分からいんですけど…?

メタバースって仮想世界のことですが、そもそもこれがイメージしにくいですよね。
メタバースについては…今日のところは深入りしません。笑

ガンダムさんも良くわかって位なのでは…?

…………


将来的には、自分で作ったガンプラをスキャンしてバーチャル空間上で公開する「ガンプラコンテスト」やそれらを戦わせる「ガンプラバトル」、ガンプラのオンライン講座なども実施する予定のようです。
ワクワクしませんか?

すごいワクワクします!!
君のような若者が命を落として、 それで世界が救われると思っているのか? 新しい時代を創るのは、老人ではない!!
シャア・アズナブル
さいごに
(株)バンダイナムコホールディングスの決算資料の超意訳、いかがでしたでしょうか。
最後に簡単にまとめます。
自分を信じない奴になんかに,努力する価値は無い!
シャア・アズナブル
最後まで記事をお読みいただきありがとうございました。
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